AZLA Trinity インプレ|安定感と聴きやすさを備えたウォームサウンド

瞬間相性チェック

サウンド傾向
ウォーム寄りのバランス型/包み込む低域と丸い高域が織りなす、優しい万能機
おすすめ
落ち着いたリスニングを長時間楽しみたい人/音楽の温度感や余韻を大事にしたい人/自然な音が好きな人
合わないかも
鋭い解像感やシャープな分離を重視するリスナー/高域の透明感を最優先に求めるタイプ
印象
低域のあたたかさが中域の明瞭さを優しく支え、全体を丸く包み込むサウンド。派手さよりも心地よさを追求した設計で、価格帯を超えた安定感と聴きやすさを備えた実力派。

このインプレは個人購入によるものです。細かめに聴き込んでレポートしているので、「ざっくりどんな音か知りたい!」という方は【⑦総評】以降だけ読めばだいたいわかります。
AZLA Trinity インプレ|安定感と聴きやすさを備えたウォームサウンド

純正イヤピ・ケーブル使用。スマホ→audirect ATOM4で接続。100時間ほどエージングしました。

全体バランス

温度感
暖かめ。
メイン帯域
低・中域。
第一印象
低域量感があるが暖かく、中域が埋もれていない。丸くクセがない。

音場・定位

あまり広がりはなく、壁に反響して箱庭的な音場。
奥行き
平面的で近い。低域だけ押し出しが強めでやや不自然。
高さ
横や奥行きと比べると圧迫感はなく、よく抜ける。
定位の正確さ
あいまいだが温度感が心地よく、あまり気にならない。
音像サイズ
大きめで迫力あり。
輪郭・分離
輪郭はやや甘めで全体的に丸いが、わずかに明瞭さも残っている。分離はあまり良好ではないが、かえって一体感が出ておりかなり纏まりがいい。

低域の質と量

量感
やや多めだが暖かく、あまりドンシャリには感じない。
質感
かなり膨張気味。甘い輪郭で柔らかく全体に広がり、ステージというより背景を作る。
立ち上がり・キレ・制動
制動控えめの弾力型。立ち上がりはそこそこ速めでキック感もあり、速い曲にもしっかり追従できる。
ボーカルへの干渉
あまりない。暖かくゆるい輪郭でよく支えている。

中域の質

ボーカル位置
中。やや輪郭だけ強調されて前に出てくる。
透明感
強調された輪郭の張りは透明。芯にはやや濁りを感るが、かわりに腰高にならずにまとまっている。
厚み・母音の伸び
地の厚みはあまりないが、しっかり低域に支えられて聴感上の厚みはそこそこある。伸びはあっさり気味だが特段キレが良いというわけでもなく、バランス型。

高域の質

滑らかさ/粗さ/鋭さ
粗いか滑らかかで言うなら滑らか寄りだが、退屈にならない程度にピークの主張を感じなくない。滑らかに聞こえるのは低域のマスクも効いているかも。エッジは丸い。
刺さり感
不快な刺さりや痛さはない。
空気感・倍音の質感
若干金属的なカッチリ感も感じつつ、かといって明確に有機的というほどでもなく、総じてややウエットなニュートラル。倍音には演出感もなくないが、さほどくどくないので中庸と言ってよい。
ハイハット・金管の粒感と輝き
ハットは余韻あっさりの粒立ち型だが、強いアタック感もあまりなくマイルド。金管はかなり滑らか。輪郭の強調を抑えて一体感を感じるかわりにやや明瞭さには欠けるが、滑らかさ由来の優しさもあって聴きごたえは十分ある。

疲労耐性

聴き疲れ原因
あまりなし。
装着疲労感
なし。とても軽量。
長時間使用への適性
長め。

総評

低域の特徴は包み込むような量感とゆるい輪郭。これがウォームさの軸になっているが、ただ暖かさを出すだけだと弾力が主張しすぎてスピード感が失われそうなところ、適度に立ち上がりが早いおかげで曲を選ばないのがいい。
中域は輪郭型だが暖かい低域に支えられて、明瞭さも芯もほどほどに両立できている。表現の細かさに物足りなさを感じなくもないが、芯・輪郭・厚み・伸びいずれも過不足はない。あまり強い個性はないが、聴きこむほど安心できるタイプ。
高域は丸く滑らかで刺さりもないが、完全におとなしいかというとそうでもなく、ほんのりとした粗さで刺激・解像感を、倍音の優しい演出で聴き味を引き出している。粒立ちそのものは並なので、このほんのりさが良い隠し味になっている。
総じて暖かさを軸にして、スピードと弾力、芯と張り、滑らかさと明瞭さなど、相反する要素をしっかりと両立させた音作り。音場・定位や分離・粒立ちこそ犠牲になっているが、帯域間のまとまりの良さが非常にいい仕事をして一体感が出ているため、まったく弱点に感じない。
聴き疲れせず1本で何でもこなせる懐の広さが魅力なので、初めての1本はもとより長時間リスニングやながら使用などにも出番のあるサウンド。クセのなさに加えてイヤピだけで元が取れるくらいコスパが良好なところも見逃せないポイントでしょう。

聴きどころ

あまり弱みのない中域でボーカルを聴かせる音作りではあるものの、やや女性ボーカルは芯の密度が薄まり気味で、どちらかというと男性ボーカルのほうが力強さやまとまりを感じられると思います。
特に切ない歌詞と明るい曲調のバンドサウンドでバックとボーカルの一体感を立てる聴き方がおすすめ。
音のぬくもりや余韻の中にある感情をそっと掬い上げる表現をしたときに、心に寄り添うような優しさを感じられるでしょう。

 

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スペック等

ドライバー:ダイナミック型(3層レイヤー構造振動板採用「発展型ARD」ドライバー)
ドライバー数:1DD / 1ドライバー(片側)
形式:密閉型
周波数応答範囲:10 – 40,000 Hz
感度:104 dB SPL/mW(@1KHz)
インピーダンス:16Ω(@1KHz)
ケーブル/プラグ:4芯OFCリッツケーブル(約120cm) ※マイクなし/プラグ(L字):3.5mm 3極
ハウジング素材:アルミニウム

公式サイトより引用

 



AZLA TRINITY Black [3層レイヤー構造振動板/8mm発展型ARDドライバー搭載 有線イヤホン] 超低歪サウンド カナル型 120cm L字プラグ アルミ筐体 SednaEarfit T 4サイズ/キャリングポーチ付属 音楽/映画/ライブ配信/ゲーム/ASMR【AZL-TRINITY-ST-BLK】

カテゴリー|イヤホン
メーカー|AZLA
価格帯|-2,000円
メイン帯域|中域メイン帯域|低域
音の温度感|ウォーム
音場サイズ|狭い
音像サイズ|大
定位|不正確
分離|一体感重視
低域:量感|大
低域:質感|ルーズ
低域:タイプ|弾力系
ボーカル位置|中
透明感|ナチュラル
ボーカルタイプ|輪郭型
伸び|中間
粗密・滑らかさ|滑らか粗密・滑らかさ|丸い
刺さり感|刺さり完全抑制
空気感|中間空気感|ウェット
倍音の質感|中間
得意楽器|金管得意楽器|ベース得意楽器|ギター得意楽器|ボーカル
入手形態|自費購入
記事の種類|レビュー・インプレ
 

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投稿者プロフィール

手に取った機種ごとにまったく違う世界を垣間見て、その瞬間を言葉にすることが大好きです。レビューというよりは世界に触れた感想の切り出し。インプレッションをつづります。

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