FUNLOGY Wired Earbuds インプレ｜音全体が柔らかく溶ける夜向きウォーム

サウンド傾向

ウォーム寄り／低域厚め／中域実体感／丸くてしっとりした高域／小音像

全体バランス

温度感

ウォーム。

メイン帯域

中・低域。

第一印象

低域が膜のように全体を包むが、全域丸くて柔らかい。

音場・定位

横

やや狭めだが自然で圧迫感もない。

奥行き

平面的。前傾感はなく、しっかり前で鳴っている。

高さ

やや低めの天井。抜けはあまりよくない。

定位の正確さ

定位はあいまいだが、小さい音像が前で鳴るので雰囲気はなかなかいい。

音像サイズ

低域でマスクして中・高域はなかなか音像が小さい。

輪郭・分離

低域の輪郭はとてもゆるい。中・高域はボケて甘い。分離は全域でいまひとつよくない。

低域の質と量

量感

多め。

質感

超ルーズ。あまり重心は低くなく、ワイルドなパンチ感というよりは、極厚の毛布を頭に被っているような包みかた。総じて芯にやや硬さの残る弾力型。

立ち上がり・キレ・制動

弾力に寄せている低域のためキレはない。

ボーカルへの干渉

音源によって支えられたり潰されたり。低域が多めのミックスや、基音帯が低めのミックスでは顕著に埋もれる。

中域の質

ボーカル位置

中。輪郭の張りも感じなくないが、芯と分離せずに一体感がある。

透明感

極太の芯は厚みによって曇っているが、わずかに輪郭が張り出している部分だけやや透明。苦しい濁りはない。

厚み・母音の伸び

張りの一体感とルーズな低域の支えで、暖かい厚みが出ておりボーカルの実体感が強く感じられる。サ行にやや滲みあり、伸びの粒立も普通だが、滑らかに減衰してとても優しい丸みがある。

高域の質

滑らかさ／粗さ／鋭さ

非常に滑らかだが、退屈にならない程度の解像感はある。エッジは明確に丸い。

刺さり感

刺さり感はまったくない。耳当たりがいいというか、耳に当たらない。

空気感・倍音の質感

有機的でウエット。とてもしっとり。倍音は自然。

ハイハット・金管の粒感と輝き

ハットはアタック感はほぼなく、余韻がしっとり・ふわりと舞う。金管は暗めで眩しさもないが、芯が太く力強いうえにとても滑らか。

疲労耐性

聴き疲れ原因

あまりない。音源により低域の圧。

装着疲労感

なし。

長時間使用への適性

長い。

総評

低域寄りのカマボコサウンド。明瞭さも残しているが、それ以上に厚みと滑らかさが特徴的。骨格にあるのはルーズに広がって、腰高気味に全体を支える低域。このルーズさがマスクして、元からなかなかある中域の厚みと高域の丸みを一層引き出している。

小径ドライバーで出せるほぼ限界レベルまで低域の量感を出してこそいるが、かといって破綻している箇所はまったくない。実に教科書的なウォームさ。最近の流行がドンシャリ的／ハーマンライクな機種ばかりで、そういった音に慣れている人が聴くと透明感と引き換えの体温・実体感に驚くかも。

カマボコ機としてみたときには素直に無難な暖かく丸いサウンドにまとまっているうえに、非常に安価なのがポイント。安価なので初心者に勧めたくなりもしますが、初心者が分かりやすく高音質！と思うような攻めた音作りではないので、どちらかというと暖かい音の機種をあまり持っていない人の気分転換用のサブとしての使い方のほうがおすすめ。

聴きどころ

低域の量とルーズさによる暖かみが魅力ですが、帯域のぶつかり方によってはボーカルが潰されることがあるために、いささか曲を選ぶ傾向があります。
基本的には特性の通りの暖かくしっとりした曲がよいでしょう。特にミックスが濃すぎない楽曲で、中域の厚みと滑らかさを引き出してみてください。
優しくチルいトラックで寝る1時間前に聴くような使い方で個性を立ててみると、優しい丸みと温度感でぐっすりと寝れる夜になると思います。