ごあいさつ

ごあいさつ

アイテムの記事ではなくこの記事をわざわざお読みいただいたことに、深くお礼申し上げます。

はじめまして。「耳で旅するイヤホンの世界」管理人のことみと申します。なぜオーディオレビューサイトを立ち上げたのか、どういう方針で記事を書いていくつもりなのか、ごあいさつとして思いの丈をお話させていただきます。

きっかけについて

わたしはひとりのオーディオファンにすぎませんが、イヤホンやヘッドホンを世に送り出すのはわたしよりもはるかに音に精通したプロたちです。彼らが「責任ある仕事」として形にした一台一台には、必ず「届けたい音」や「表現したい世界」が込められているはずだと信じています。だからこそ、音を生むために費やされた時間と製品に込められた想いに敬意を払いながら、その意図を考えてインプレを書きたいと思っています。

かつて「忖度しない辛口評価」という建前で、レビュアーが気に入らなかっただけの機種を貶している記事を目にしたことがあります。「貶されるために生まれた音ではないはずだ」と、とても悲しく、胸が痛みました。そしてその経験が、わたし自身がインプレッションを書き始めるきっかけの一つでもありました。

比較しない理由について

世の中には「好きだから良い」「嫌いだから悪い」で終始して、その機種の強みや本当の魅力を掘り下げていないと思えるようなレビューが数多くあります。また、提供やアフィリエイトといった商業主義に寄りすぎたがために付属品や機能・仕様の紹介に終始してしまい、本来読者が最も知りたいはずの「どういう音を出すか」ということに関しては、機種間の比較ばかりでおよそ想像がつかなかったり、当り障りのない表現や過剰な賞賛ばかりと思えるような記事も見かけます。
それが世間一般の風潮であることや個人レビューの強みであること、そもそも書き手の自由であることは百も承知ですが、わたしは音を文字にすることを決めたのならば、その機種が何を語りかけ・どういう景色を見せてくれるのかに耳を澄ませたいです。

仮に比較したとして、比較対象の機種を持っていない読者にとっては、他機種との優劣や相対性を語ることはむしろ不親切になりかねません。そして何より、プロの手で作られた音を言葉にする以上、それは「貶すための音ではない」という前提を忘れたくないです。むしろどの一台も「手に取った人が幸せな体験をできるように」と願って世に送り出されたはずです。

だからこそ一台一台と正面から向き合い、その体験をできる限り誠実に言葉へと落とし込みたい。それが音を言葉にすると決めたならば、わたしが最低限果たすべき責任だと考えています。

採点しない理由について

数値でスコアリングすることを避けているのには、大きく二つの理由があります。

ひとつめは精神的な理由。点数という形はあくまで楽曲や耳との相性を段階付けするだけで、その機種の個性を浮き彫りにするものではありません。しかし、たとえ「低い≠悪い」という前提で採点したとしても、その前提を知らない読者には「劣っている機種だ」という印象を与えてしまいかねません。さらに、もし帯域ごとなど細かく点数を付けたとしても、ある部分の点が低いからといってその機種全体が劣っているわけではなく、むしろその弱みが他の帯域とどう調和して最終的にどんな音の景色を生み出すのか、という本質的な体験は数値では伝わりにくいと感じています。そもそもプロが世に送り出したものをアマチュアの立場で堂々と採点すること自体が、わたしにとってはとても畏れ多く思えるのです。

もうひとつは実務的な理由。点数は一見わかりやすく便利であっても、わたしは細かい採点理由をすぐ忘れてしまうことが多く、しばらく経って振り返ったときに「なぜこの点数だったのか」を説明できなくなりがちです。採点基準や好みの傾向についても状況や感覚の変化によってどうしても揺らぎがちなため、数字を残してもその時の体験を再現する助けにはなりにくいと感じています。

もちろんわたしにも好みの音はあります。そういった機種に対してはやや甘口になったり、筆に勢いが乗ることもあると思いますが、何卒ご容赦ください。

おわりに

たとえ大変であっても、比較せず、数字も使わず、精一杯言葉を尽くして「自分にはこう聴こえた」「こういう世界を見せてくれた」とその時の体験をありのまま残していきます。その積み重ねが作り手への感謝となり、読み手への誠実さにつながればと思っています。

レビューサイトの体裁こそとっていますが、評論家ではなく翻訳家や紀行家のようでありたいです。旅をするときに前に訪れた街と比べず、その土地の空気や出会いを楽しむように、一期一会の景色を記録していきます。

もしわたしの旅の記録を読んで同じ機種を手に取る機会があったら、まずは聴いて、そしてまた記事を読み返して。そうやってその機種だけの魅力を深掘りしたり、わたしも気づかなかった一面を見つけてもらえたり、そんな「旅の地図」のように使っていただけたら、とても嬉しいです。

2025.9.14 耳で旅するイヤホンの世界 管理人 ことみ

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