目次
サウンド傾向
クール寄り/中高域メイン/カリカリ輪郭強調
おすすめ
くっきりした音が好きな人/ユニゾン・ハモリを聴き分けたい人
合わないかも
厚みや胴鳴りのある音を求める人/穏やかでナチュラルな音色が好みの人/高域の刺激や刺さりに敏感な人
印象
輪郭と分離で押し切るシャープなサウンド。情報整理力と見通しの良さが魅力。

このインプレは個人購入によるものです。細かめに聴き込んでレポートしているので、「ざっくりどんな音か知りたい!」という方は【総評】以降だけ読めばだいたいわかります。
純正イヤピ・ケーブル使用。スマホ→BQEYZ linで接続。80時間ほどエージングしました。
全体バランス
温度感
クール。
メイン帯域
中・高域。
第一印象
ドライで輪郭くっきり。カリカリサウンド。
音場・定位
横
広がりはあるが自然さはない。
奥行き
かなり近く浅い前傾サウンド。面押し強く圧迫感あるが、迫力と言い換えてもよい。
高さ
横・奥行きとは異なり自然で抜けもよい。
定位の正確さ
広がりと近さに負けてあまり正確ではない。
音像サイズ
中~やや小。
輪郭・分離
全域クッキリ。分離も良好で埋もれない。
低域の質と量
量感
適正。サブベースは太いが全体的にあっさりめなので物足りないと感じる人もいるかも。
質感
タイト。輪郭くっきり。肉付きが少なく軽め。やや独特な存在感。
立ち上がり・キレ・制動
チューニングはスピード感志向だが鋭いキレはない。立ち上がりはややもたつき気味。制動は一定レベルで保たれている。
ボーカルへの干渉
なし。すっきり。
中域の質
ボーカル位置
やや後ろだが低域の干渉が抑えめなので見通しは良い。
透明感
クリア。透明な張りがあり瑞々しい。
厚み・母音の伸び
厚み・芯は欠けるが、輪郭のくっきりさは特筆もの。張りの力だけで押し切れるくらい強いインパクトがある。伸びはなかなか良いが、サ行の刺さりはしっかりと抑え気味。
高域の質
滑らかさ/粗さ/鋭さ
解像度より鋭さが出るタイプ。かなりシャープで粗い。
刺さり感
高域はなかなか刺さる。痛い。質感そのものはシャリつきがあるが、控えめな量感にして抑えている。
空気感・倍音の質感
中域同様にドライで暖かみに欠けるが、演出的でないのが好印象。
ハイハット・金管の粒感と輝き
ハットは余韻よりキレで勝負しているが、かなり強調されて刺激的。金管はボーカル同様に輪郭で主張している。しっとりしているが膜感はない。金属的な輝きというよりも黒曜石を磨いたようなにぶく重い輝き。
疲労耐性
聴き疲れ原因
刺さり。
装着疲労感
なし。ケーブルはくせがなく扱いやすいが絡みやすい。
長時間使用への適性
やや短め。
総評
とにかく全域を輪郭でごり押ししてパート分離で聴かせてくれる。穏やかな見た目をしつつも、助走をつけて全力で輪郭アッパーカットしてくる意外性が面白い。ここまでカリカリなサウンドもなかなか珍しいが、くっきりはっきりしたキャラ自体はかなりわかりやすい。
全域胴鳴りがほとんどなくて個人的には苦手な音だけど、狙いどころを一点に定めた真っすぐなコンセプトと、それを徹底したうえでこの価格に落とし込んだ情熱には素直に好感が持てる。
総じて音の質感よりも良好な分離とシャープな輪郭を楽しむ機種。この点は明確に突出している強みといってよいでしょう。ハマる人には相当にハマる個性なはず。
好みの音から外れすぎててちょっとネガ気味だったかも。でもパッケージの絵柄はかなりすき。めちゃくちゃすき。超すき。かわヨ。

ぶひぃ。
聴きどころ
透明感と張りを活かせるような、明るく抜けのいい女性ボーカルのポップスがいいでしょう。音場が近く広いのでライブ感を味わえるのもいいですね。
特徴的な輪郭を活かせるのはユニゾンやハモリが密集するタイプの曲。声の重なりがボケずにちゃんと個別に聞こえます。
しっかり情報を整理して届けてくれるので、サビでもその場で歌っているひとりひとりの声の粒立ちを感じとれると思います。
スペック等
感度:119dB/Vrms(@1kHz)
プラグ:3.5mm
再生周波数帯域:20Hz~20kHz(IEC60318-4、3dB)
インピーダンス:18Ω±15%(@1kHz)
イヤホンコネクタ:0.78mm 2ピン
測定グラフとの照合

番外編。聴感印象を第一にしているので普段は記事にしてないですが(長ったらしいしネ)、人気機種なのでたまには答え合わせしてもいいでしょう。
hangout.audioのグラフを引用させていただきましました。
音場
- 8kHzピーク→ 9kHz大ディップ→ 12kHz大ピーク。横の広がりはあるもののフォーカスが散りやすく、定位が乱れがちになった要因でしょう。
- 1-2kHzプレゼンスと5kHz/8kHzピークで音場の押し出しは強めですが、20-200Hzまでほぼ盛り上がりがなく、広がる空間を支える土台が行方不明で近く・圧迫的に感じたと見ました。
聴感への影響
- 低域は右肩下がりかつ120Hzと400Hzにディップがありますね。厚みが足りないように感じたのはこれかな。
- 400Hz-1kHzと2.5kHzのディップがそれぞれボーカルの厚みと芯を削いでいるようですね。輪郭を押す音作りのために狙って作ったティップに見えます。
- 3-4kHzがマイルドなのでボーカルの音像としての定位は後ろといっていいでしょう。音場は前傾だけど定位は後ろ。
- 5kHz/8kHz/12kHzピークは瑞々しさと輪郭が出ますが、出しすぎて一緒に刺さりと鋭さが出てしまっていると思います。鮮明さのために割り切ったチューニングとみてもいいのかもしれません。
- ハットは8kHzの乱高下でキレ、12kHzのピークで余韻を切り落としてカツンとエッジが立っています。キツいですね。
- 総じて高域はこれだけ連続して山があればまぁ刺さりもするしドライに聴こえるでしょうという印象です。
読みとき・所感
- 測定でも見れる主だった印象は輪郭超強調、クールでドライ、厚みと芯は控えめで刺さりあり、としっかり聴感でも拾えていたと思います。
- 世間のレビューを見ると刺さり少なめとの評が多いですが、高域にモリモリ山だらけで刺さらないのが個人的にはかなり不思議。純正イヤピ+いつも深刺し気味だからわたしが刺さりやすい状況が揃っていたのかもしれません。
- 厚み不足はリケーブルで改善する可能性もあるかも。
- かなり音を育てる余地があるので、イヤピ・ケーブル・イコライザーとも遊びがいのある機種と言えます。
- ガジェット的わちゃわちゃ感を楽しみたい人には特におすすめ。
長文記事をここまでお読みいただきありがとうございました。
- カテゴリー|イヤホン
- メーカー|MOONDROP(水月雨)
- 価格帯|-5,000円
- メイン帯域|高域メイン帯域|中域
- 音の温度感|クール
- 音場サイズ|中
- 音像サイズ|中
- 定位|不正確
- 分離|良好
- 低域:量感|中
- 低域:質感|タイト
- 低域:タイプ|スピード系
- ボーカル位置|引き気味
- 透明感|クリア
- ボーカルタイプ|輪郭型
- 伸び|中間
- 粗密・滑らかさ|粗い
- 刺さり感|刺さりあり
- 空気感|ドライ
- 倍音の質感|自然
- 得意楽器|金管得意楽器|ギター得意楽器|ピアノ得意楽器|ボーカル
- 入手形態|自費購入
- 記事の種類|レビュー・インプレ記事の種類|グラフ照合あり
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