TANGZU Wan’er S.G インプレ|派手さと生々しさの両面を持つ万能ドンシャリ

サウンド傾向
ウォーム寄り弱ドンシャリ/芯のある中域/キラキラ高域
おすすめ
元気なサウンド/艶っぽいボーカルを楽しみたい人/万能型を求める人
合わないかも
繊細な分離を重視する人/高域の刺激に弱い人
印象
低域の厚みと高域の華やかさを備えつつ、表現が細かいボーカル。派手さと生々しさの両面を持つ万能ドンシャリ。

このインプレは個人購入によるものです。細かめに聴き込んでレポートしているので、「ざっくりどんな音か知りたい!」という方は【総評】以降だけ読めばだいたいわかります。

TANGZU Wan’er S.G インプレ|派手さと生々しさの両面を持つ万能ドンシャリ

シェルデザインも付属品も箱も高級感があります。 WAN’ERにはSG2とかSG Studio editionとかイロイロありますが、今回は無印(初代)です。

純正イヤピ・ケーブル使用。スマホ→BQEYZ linで接続。100時間ほどエージングしました。

全体バランス

温度感
ウォーム。
メイン帯域
低・高域。ドンシャリだが中域を聴かせる音造り。
第一印象
上キラキラ、低域もかなり厚みあるが、しっかりボーカルが立っている。

音場・定位

やや狭いが窮屈さはなく自然。
奥行き
深め。かなり前で定位している。
高さ
奥行きよりは閉じているが、圧迫感はない。
定位の正確さ
悪くないが音像の大きさが右肩下がりで配置がブレる。総じてみるとそれなり。
音像サイズ
低域が一番大きく、上にいくにつれて小さくなる。
輪郭・分離
輪郭は全域くっきり寄りだが若干の甘さで聴き心地を出しおり、暖かみもあるのでありカリカリには感じない。分離はやや甘いがダルさはない。

低域の質と量

量感
適正よりやや多め。
質感
粒立ちより弾力と余韻重視。ルーズだが残響で輪郭が見通せる。
立ち上がり・キレ・制動
もたつき気味だがしっかりと温かさを出せている。
ボーカルへの干渉
やや被る。

中域の質

ボーカル位置
定位はそこそこ後ろだが輪郭というより子音だけ力強く前に抜けて存在感がある。押し出しは並だがツボを押さえた強調。
透明感
澄みきった清涼感はあまりないが膜の濁りは感じないのが面白い。抜けた子音が強調されてボーカルはディテールが細かく感情豊か。サ行は刺さるが苦しさや不快感はない。
厚み・母音の伸び
厚みはさほどないが、細いながらもしっかり通った芯とくっきりめの輪郭・情報量で聴かせるタイプ。伸び・艶共に良く、特有の色気がある。

高域の質

滑らかさ/粗さ/鋭さ
粒立ちよいがやや粗い。エッジは立っているがわずかに丸くて切りこまない。
刺さり感
チクチク刺さる。刺激強め。
空気感・倍音の質感
きわめて自然だが、どことなく演出的。肩の力を抜いてその演出を楽しむほうが魅力を味わえる。
ハイハット・金管の粒感と輝き
ハットは粒立ちはほどほど、残響が味わい深い。金管はうっすら膜感はあるが、気にならないほどピカピカに輝いている。輪郭で鳴らしているがとても伸びやか。

疲労耐性

聴き疲れ原因
典型的ドンシャリ疲れ。低域の圧と高域の刺さり。
装着疲労感
イヤホンゆえ考慮せず。
長時間使用への適性
やや短め。

総評

中域の生々しさが印象的。ただ輪郭を強調しただけではなく、母音の芯が痩せないバランスがいい。コスト制約下でドンシャリ機に中域をどう聞かせるか、という問題に正面から向き合ってちゃんと一つの解になっている。
包む低域、立つ中域にただ自然な高域を組み合わせるだけだと退屈な音になってしまうところを、適度に刺激と演出的な自然さを足して楽しめる音に仕上げるという基本方針。
ベターで味わいもあるが、そんな中でも異彩を放っているのは子音だけ前に出すことでボーカルの情報量と存在感を出した設計。多ドラにものを言わせてリアリティを引き出す機種はあっても、1DDのエントリー帯で設計勝負してこの類のリアリティを引き出す音作りはなかなか珍しい。
特にこの価格帯は手堅く(安直に?)ハーマン系の明瞭設計で輪郭を前に抜けさせる機種がほとんどで、あえて前に抜ける要素を絞って個性を出しつつも日常使いの万能機としてまとまっているのが非常に好印象。逆張りオタクなのでこういうことされると弱いです。
かなりわかりやすいキャラクターで、じっくり考えたり聴いたりしなくてもサクサク筆が進みました。個性的でありながら明瞭で明るく、とても素直な音色を出す機種です。

聴きどころ

低域の厚みときらびやかな高域で、明るい曲を元気に鳴らすのはとても得意。よりこの機種らしさを感じたい場合は、弾力がある低域と明るさの中に飾らない歌声のボーカルが重なる曲がよいでしょう。
一方で中域の生々しさと高域の自然な抜け感も強み。ブレスの効いた穏やかなボーカルや音数の少ない生楽器系のトラックでは、うってかわって優しくて自然な一面や繊細な感情表現力を見せてくれます。

 

さくらんぼ|Ai Otsuka - Topic|YouTube

さくらんぼ
Ai Otsuka – Topic

 

明日への手紙|Aoi Teshima - Topic|YouTube

明日への手紙
Aoi Teshima – Topic

 

明るく元気な曲+ブレスの効いた繊細な曲という方向はすぐ決まったのですが、いろんな曲を表情豊かに鳴らしてくれるので選曲はなかなか難航しました。得意な表現の幅が広く、1本で様々なジャンルをカバーできる機種です。

スペック等

ユニット構成:10mmPETダイヤフラムダイナミックコイルユニット
歪み率: <0.5%
感度:107dB(1kHz)
バランス: 1dB (1kHz)
インピーダンス: 20オーム
周波数範囲: 20Hz~20kHz
線材:無酸素銅メッキ銀
ワイヤー長さ: 1.2m ± 5%
インターフェース: 2ピン 0.78

公式サイトより引用
AliExpress MoonHifiで購入しました。

TANGZU Wan’er S.G インプレ|派手さと生々しさの両面を持つ万能ドンシャリ

LINSOUL TANGZU Wan’er S.Gダイナミック振動板が搭載されハイエンドインナーイヤーモニター 10mm PETダイナミックドライバーが採用 リケーブル可能の設計 高純度5N OFC(無酸素銅)ケーブル 人間工学に基づくデザインイヤホン デュアル音キャビティの設計 より良いノイズキャンセリング機能を持ちハイエンドHiFiイヤホン (ホワイト)

 

カテゴリー|イヤホン
メーカー|Tangzu
価格帯|-2,000円
メイン帯域|高域メイン帯域|中域
音の温度感|ウォーム
音場サイズ|中
音像サイズ|中
定位|並
分離|並
低域:量感|大
低域:質感|ルーズ
低域:タイプ|弾力系
ボーカル位置|引き気味
透明感|ナチュラル
ボーカルタイプ|輪郭型
伸び|良好
粗密・滑らかさ|粗い粗密・滑らかさ|丸い
刺さり感|刺さりあり
空気感|有機的
倍音の質感|自然
得意楽器|シンセ得意楽器|ドラム得意楽器|ベース得意楽器|ボーカル
入手形態|自費購入
記事の種類|レビュー・インプレ
 

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投稿者プロフィール

手に取った機種ごとにまったく違う世界を垣間見て、その瞬間を言葉にすることが大好きです。レビューというよりは世界に触れた感想の切り出し。インプレッションをつづります。

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